生産性

 米グーグル、2012年労働改革プロジェクト。社員同士のコミュニケーションを中心のワーク・モニタリング。"What Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team" The New York Times, FEB. 25, 2016「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性を明かににした。つまり「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全性(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵。その結果を、2014年にチーム・リーダー格に伝えて、自らのチーム内に「心理的安全性」を育むための具体策を考えるよう促したときのエピソード。ミーティングであるリーダーが「これから君たちの知らないことを打ち明けよう」と断った上で、自身がスピードは遅いが転移性の癌に冒されていることを告白した。しばらく沈黙が続いた後、チームメイトの一人が立ちあがって自分の健康状態を打ち明けた。そこから堰を切ったように、チームのメンバー一人ひとりが自らのプライベートな事柄を語り始め、それが終わるころには、自然に今回の議論(つまりチーム内のモラルを高めて、生産性を高めるための議論)へと移行していたという。

 ここから学べる教訓は、自己開示(アイネス)の必要性である。社員一人ひとりが会社で本来の自分を曝け出すことができること、そして、それを受け入れるための「心理的安全性」、つまり他者への心遣いや共感、理解力を醸成すること(ワンネス、ウイネス)が、間接的にではあるが、チームの生産性を高めることにつながるということ。